夏休みの締めは… そうだ高知に行こう 5.
2012年 08月 29日
貧しい身ながら天才的な腕で土佐藩御用絵師にまで上り詰めたが、贋作疑惑のため追放。以降、町絵師として活躍した、弘瀬金蔵こと絵金。
昔から土佐では、子供が絵を描いていると「絵金になるかや?」と言われたほどで、この地では「絵描き=絵金」の代名詞になっている。とはいえ、絵金の代表作、芝居絵屏風は、子供が見てどぅよ?ってなアダルトな世界が広がっている(笑)
歌舞伎の名場面を情念たっぷりに描きあげた屏風絵は「絵金の血赤」とも言われる独特の「赤」の中で、血が、首が飛び、醜女が髪を振り乱し、鬼の形相の男女が、舞台さながらの見得を切る。見ていて一時も心が安まらない。でも目が離せない。スゴイ!
上:浮世柄比翼稲妻 鈴ヶ森
下:義経千本桜 鮓屋
高知から車で30分ほどの町、赤岡では、夏のある夜、百匁蠟燭に照らし出された絵金の屏風絵が軒先に並ぶ〈絵金祭り〉が行われる。泥絵の具の毒々しい原色も、ゆらめく蠟燭の下で見ると、一転、妖しい光を伴う舞台の一幕と化すという。
ギャラリーフェイクというマンガで知って以来、龍馬より何より、絵金を見たくて高知に行きたくなったくらいビビッ!と惹かれた。(このマンガはハラショ〜♪にステキで、美術やアート好きな人には太鼓判押してお薦めする!)
見上げるほどの偉丈夫だった絵金は、酒をかっくらいながら芝居小屋や酒蔵の中で描いていたそうだが、御用絵師として描いていた狩野派とは180度違う、凄惨で美しい情念の世界は、裸一貫となって初めて得た、絵金が本当に描きたかったものだったのではないだろうか。
昔は赤岡の商家が1枚づつ絵金の屏風絵を預かっていたが、保管と展示も兼ねて〈絵金蔵〉ができた。
大変充実した施設で、絵金祭りさながら薄暗い展示室を (電気) 提灯を持って見て回るアイデアには感心しきり!ほの暗い光の下で見てこそ、絵金の絵は生命の輝きを増す。いつかホンモノの絵金祭りを見てみたいものだ。
屏風絵のオリジナルは月替わりで2点しか見れないが、土佐を襲った台風と地震の惨劇を、洒脱な線とユーモアで綴った「土佐震災図絵」や「絵本大変記」もお薦め♪
絵金蔵の前には、
絵金歌舞伎も楽しめる〈弁天座〉という小屋もありマスvv
昭和な香りがふんぷんと漂う赤岡の町も、見て歩くには楽しい。
祭りの時は人が変わったように賑わうのだろうが、
今は、時が止まったかのように静まりかえっている。
こっちに来てよく見かける段々屋根のついた壁。
雨や陽射しから壁を守る「水切り瓦」というそうな。
そういえば台風もよく来るし、
南国土佐…っていうくらいだから暑い土地柄だもんね。
水切り瓦を設けるには余計に費用がかかるし (技術的にも難しいらしい)
「うだつ」のように、富の象徴ともされているそうだ。
漆喰も「土佐漆喰」というモノが使われており、地方でいろんな手法があるんだな…と、風土と建物の関係性に改めて感じ入るのでありましたvv
ちょうどこの壁の向かいに、これまた古くて感じのイイ菓子屋〜〈西川屋〉があり、上品な女将さんが資料室や古い家屋を快く見せてくれる(美味しんぼで第512話でも紹介された老舗でもある)
ケンピっていったら、ア〜タ、イモけんぴでしょう?と思ってたら、土佐のケンピは、小麦粉と砂糖だけで作ったクッキーのようなもの。ハンパなく固くて、うっかり前歯で囓ると、ちょっとヤバイくらい(笑) それでも、やさしく懐かしい味のするお菓子です。
ココ本店でしか買えないと聞き思わず買ってしまった「山ノ薯饅頭」は、山内家に献上していたという由緒あるお菓子。生菓子ならともかく、饅頭1個に300円也を払うのは前代未聞だったが(6つも買ぅてもうた!(笑) 上品な甘さでたいへん美味しかったデス♪♪