ご無沙だけど読んでマス 1.
2010年 10月 05日
読んだ時期は前後するが、印象深かったものをば…
映画〈悪人〉が封切られたばかりだが、正直、原作の印象は薄い。だから映画は見てみたいかも…とちくと思う。そんな良くも悪くも暗いイメージのあった吉田修一感をガラリと変えたのがコレ。『横道世之介』
長崎から上京したマイペーで鷹揚な主人公の日常が、サラリと爽やかに描かれている。
そないにアップダウンがある話ではないが、ああ、こぅゆう子いるだろうな (同性はもっと共感できるかも) という親近感がページを軽やかに繰らせる。
登場人物のその後も含め、ちくと悲しく、読後をあったかくを包む作品。
『横道世之介』と同じジャンルになるだろう。個性的なるり姉_娘であり妹であり叔母であり妻である_をとりまく家族の日常を描いた『るり姉』
なんとなぁく先が読める展開だが、ソレをうっちゃるほど登場人物が魅力的♪特別じゃなく、現実にいそうな人たち_るり姉はともかく(笑) なのがまたイイ。
初めて読む作家さんだったが、文章がウマイ!アタシ好み。他の作品も読んでみたいと思いました。
ガラリと変わって、読むのが恐くもあり楽しみでもあるジレンマを抱えてしまう、湊かなえの『夜行観覧車』
上記2作品とは全く違う、実はどっかで起こってる陰で湿な日常の暗闇が、今回も舞台となっている。
今の中高生ってこんなんなん?と思うと、毎度ゲンナリするが、心の闇_劣等感や嫉妬は誰もが持ってるもの。それをギリギリんとこまで描くのが、彼女の筆の冴えなるとこ。
どうなるん?どうなるん?と、忙しく文字を追いかけさせる構成はさすがでアル。
たとえ読みながら眉間にシワがよっていたとしても…だ(笑)
ただただ、本当に救われたのは(笑)、今まで読んできた作品の中では、唯一といっていいほど読後に希望の光を感じられたこと。これだけの表現力と筆致力をもった人だ。次作は是非、なんか違うジャンルに挑戦して欲しいな。