この世界の片隅に
見終わってちょっと泣きそうになりました。
「君の名は」との“感動”とは全く全然異次元の。比べるのも愚かなほど。
いや…感動とは違う。
もっとシンプルで、もっと大きくて、もっと大事なこと。
今、自分が生きてる…ってことに、かな。
ホロコースト関連をはじめ、年代を問わず戦争がキーワードになった映画が、
それが喜であろうとも悲であろうとも、毎年のように作られるのは必然だと思った。
理不尽や無念や、失望や哀しみや、怒りや痛みや、数え切れないほどの負の歴史を経て、
今、私たちは生きているのだ、ということを忘れてはならないと思った。絶対に。
そして本作。
戦時下でもどこか淡々と描かれる日常は、返って恐ろしいほどリアル。
対空砲火が絵の具の花火で表現されたところとか、
宮崎アニメのように、山の端からワラワラと戦闘機が出現するところとか、
わずか数十キロ先の広島で原爆が落ちた時の一瞬の静寂とスローモーションとか、
現場を知らずつつましく暮らしていた市井の人々にとって、
もしかしてホントにこんな風に感じたのかもしれないと思った。
ステキというと変だけど、アニメだからできた演出だったと思う。
声優“のん”もよかった〜!ね。
吹き替えは基本、声優さんがやるべき!って思ってるけど、
彼女らしいボケ風味がすず役に見事にリンクしてて、癒しと救いを醸し出していた。
業界で問題を抱えてる彼女をアテた監督はスゲ〜慧眼だと思った。
本作のヒットに伴い露出も増えているという。
間違いなく才能のある人なので、早く身辺整理してどんどん現場に出て欲しいと思う。